第30回ハセツネCup 男子ダブル!③(過酷2周目突入〜FINISH!)

【2周目スタート〜浅間峠】

スタート地点ではドロップバックを使用できます。テントの中に入ると三浦選手矢嶋選手がいました。僕らより4分先にINしたようです。

僕はザックごと替えてすぐに出発する予定でしたが、1周目はポールなしで快調だったため、2周目もいらないだろうと考え、ポールを替えのザックから取り外すのが時間がかかると思い、ザックはそのままにジェルだけ詰め替えました。(この判断が失敗でした)

そして、ヘッドライトをNEO9RからH8Rに換え、腰ライトの電池も交換しました!

用意していたエナジージェルをその場で2〜3個食べ、水を入れ、すぐに出発しました!

エイド滞在時間は7分ほど。ここで三浦選手矢嶋選手を抜きました。

さぁ2周目スタート!漆黒のロードを大雨の中スタートするのはとても不安でしたが、不思議と高揚感もありました。だって1日で2周する人なんていないでしょ?

スタートしてすぐ道に迷いました。1周目のスタートはみんなで一斉だったので、道を覚えていませんでした。ウロウロしていると矢嶋選手が来て「なに迷ってんだよ!」と愛のあるムチをくれ、道を教えてくれました。ツンデレだなぁ。

こっち?
み、、、右!

最初のロードを軽快に飛ばしていきました。不思議ときつくなかったですが、トレイルに入った瞬間失速。。徐々に後ろからヘッドライトの灯りが迫ってきて、あっという間に追いつかれました。追いついてきたのは三浦選手でした。「速いですねー」「いえいえ、前の方はもっと速いですよ。」なんて会話を交え、あっという間に置いていかれました。三浦選手の登りは速すぎました。でもこんな有名選手とコース上で話ができるようになったのかと、自分の成長が嬉しかったです。

そして、また後ろからヘッドライトが。矢嶋選手でした。矢嶋選手は厳しくも優しく、「大丈夫か?」ときつそうな自分に声をかけてくれました。矢嶋選手とは5分ほど一緒に進み、色んな雑談をしました。若い選手が強くなってくれているのは嬉しいとおっしゃってました。崩れかけた自分に「このペースについてきてたら山本もペース取り戻せると思うから。」と引っ張っていただき、なんて良い人だと思いました。しかし、全然着いていけず置いていかれました笑

ここから先はずっと一人旅。笹尾根からどんどんトレイルがドロドロになっていきました。走りたくても走れない。なんなら歩くことすらままならない。ただでさえペースは落ちているのに、泥沼で思うように進めない。

やっとの思いで浅間峠に着きました。そこで長田選手を抜きましたが、2人とも泥沼にダイブしていて、全然会話ができませんでした。。これはトレイルランと呼べるのか?? 疑問を胸に先を急ぎます。

浅間峠までは4時間13分。1周目より1時間以上も時間がかかっています。まだ余裕代は1時間半あったものの、今後のことを考えると焦りが出てきました。

【浅間峠〜月夜見(2周目)】

浅間峠にいた観客の方に「全然進まないんですよー」と弱音を吐くものの、まだ元気に喋れる自分に安心しました。

相変わらずの泥沼。西原峠までの平坦なトレイルが1番苦戦しました。坂道なら水捌けもいいのですが、平坦な所に水がトレイルに溜まるんですね。田んぼの中を歩いているような感じでした。脚が2本とも滑っていくような、どうやったら進めるのか、ゴールするまで分かりませんでした笑 

おそらくポールがあったらバランスよく進めたのだろうなと、ポールを持たない選択をした自分を悔いました。。1周目は1時間20分で通過したこの区間。2周目は2時間10分かかりました。

月夜見に着くまで17時間51分。この時点で1時間10分の余裕代。ここからは下りパートなので完走できるだろうと一安心しました。

ハセツネはエイド食がないので、全体的にカロリー不足だと思い、少しでもエネルギーを摂ろうと月夜見の水分は1.5Lともポカリスエットにしました。ジェルもかなりギリギリでした。思った以上に時間がかかったのでジェルを時間通りに飲むと足りず、お腹が空いたら食べると言うギリギリの摂取になってしまいました。これは反省点です。

【月夜見〜長尾平(2周目)】

ここら辺から明るくなり、ライトをしまったのを覚えています。月夜見のすぐ後の下りは思ったほどズルズルではありませんでした。水捌けが良いのか、雨が止んだからかトレイルが少しマシになっていました。

御前山までの登りはズルズルでしたが、斜度が急なため水捌けもよく、前半ほどの苦しさはありませんでした。

大岳山までの走れる登りも足場は悪くなく、疲れで走れはしないもののパワーウォークは調子良く進めました。

大岳山を超えるとかなり気が楽です。あとは下り貴重。長尾平まで軽快に下ります。長尾平ではボランティアの方が大勢いて、ダブルの黄色ゼッケンを見せると大きな拍手をくれました。これだけで笑顔になれます。

長尾平到着20時間51分。あと3時間もある!ここでは完走を確信していました。

【長尾平〜ゴール】

ここからは登りは日ノ出山のみ。下りを軽快に走ります。こういうとき僕が意識するのはグザビエテベナールの走り方。UTMFのDVDで見たグザビエの走りは 100マイル走ったとは思えない綺麗なフォームで自然な前傾姿勢。流石に僕はこの距離で速く走ることは出来ないのでフォームだけ意識します。自分がトップ選手になった気になるだけで気持ちよく走れますよね。完全に自己満足!

ハセツネシングルの選手をどんどん抜かしていきます。「ダブルがんばれー」みんなが応援してくれ、とても気分が良いです。ますますグザビエになった気分。

まさか自分がハセツネダブルを完走できるとは。まさか5位で帰ってこれるとは。みんなの期待に応えることができて感無量でした。

ラストのロードは疲れを忘れました。一刻も早くゴールしてみんなに会いたい。そう思うと身体が自然と前に進みました。

ゴールゲートが見えた!!しかもここで、ずっと会えなかったHvitbartのスタッフさんが!! ん?なんかうちわ持ってる??《山本諒馬》そう書かれた4本のうちわを持って、飛び跳ねて迎えてくれました。恥ずかしい気もしましたが、とても嬉しい。こんな風に出迎えてもらったことはなかったから。

観客の皆様の拍手を浴び、ゴールゲートをくぐりました。22時間22分。長い長いハセツネダブルが終わりました。

Hvitbartのお二人に讃えられ、感謝を伝えました。僕が予告していたタイムよりも早く走ってしまったので、中々会えず申し訳なかったです。。更衣室に戻ると2位の万場さんと4位の矢嶋さんがいました。「おー帰ってきたか山本!」矢嶋さんが元気に迎えてくれます。 「おー速いやんか」万場さんのお決まりのセリフ。いつか僕が万場さんに言う日が来ますかね?

たくさんの方に応援してもらえ、素敵な戦友ができ、満足のいく走りが出来ました。本当に皆様に感謝しております。この場をお借りしてお礼を申し上げます。

ハセツネダブル。単純に2周するだけなのに、いろんなドラマがありました。24時間と言う厳しい制限時間の中、完走することはトレイルランナーとして誇りになる大会だと思いました。まだ世界で8人しか完走していない大会。

僕は来年もあるなら出たいなと思いました(晴れの日が良いですね。)

また開催されたらみんなで挑戦しましょう。

名前: 山本諒馬
生年月日: 1993年11月5日(28歳)
住所: 岡山県総社市
憧れの選手: 山本健一さん
所属: イーグル工業株式会社/走る栄養研究所RN

中学から10年間バドミントンに打ち込んでいましたが、相手の弱点を攻める対人競技をしているときの自分は常に怖い顔をしていました。そんなとき出会ったトレイルランニングは速い遅い関係なく、みんなが清々しい顔をしていました。なんてピースフルなスポーツなんだと思い、その魅力にどんどんはまっていきました。

自分のモットーは常に笑顔で走ること!自然環境や支えてくれる方々に感謝して走り、トレランで人生を豊かにしたいです。

〈直近の成績〉
・TAMBA100 アドベンチャートレイル 〈Pre-stage〉100mile   2位
・TAMBA100アドベンチャートレイル  100mile 7位
・石舞台100 100km 3位
・UTMF2022 18位(ニューヒーロー賞)
・くろんど輪舞曲 120K 優勝
・ハセツネダブル 143km 5位

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